私たちの考える農業
●SDGsと農福連携
最近「SDGs」という言葉をよく目にするようになりました。SDGs(エス・ディ・ジーズSustainable Development Goals) とは、2015年に国連サミットで採択され「持続可能な開発目標」と訳されています。
内容としては、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための17の国際目標(裏面参照)のことです。そこに貫かれている「あらゆる人々の活躍の推進」とは「あらゆる人々」が、誰も排除されることなく、その人らしく生きていくということでしょう。
私たちが法人の名称に込めた意は、農業と福祉の連携により、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える共生社会を目指したいということです。そこでもう一度、SDGsが掲げる17の目標に目をやりますと、多くの項目が私たちの考える理念に通底していることに気づかされます。
農福連携という言葉もようやく社会的な認知を得つつあるようです。しかし、その意義を、高齢化や後継者不足による構造的な就農人口減少に、福祉の対象者を動員するという動機だけに見い出したのでは、そこから将来を見渡すことはちょっと難しいかもしれません。
そこでSDGsの観点で見た場合、畑で育った野菜たちは、人々の命を育む糧となり、人々の様々な活動を支える源となります。農業とは命の循環そのものを支える営みに他なりません。
私たちは、近隣の農家の皆さんのご指導や、ご支援のもと、いっぱいの希望と、少しの不安と共に今年から農業を始めました。夢とは裏腹に、今のところほんのわずかな耕作面積しかありませんが、ここから一人ひとりの利用者の誇りが大きく生い育っていくことを信じます。SDGsの目標達成に向けた私たちのささやかな実践です。
●なぜ農業なのか
自然とふれあい、大地と向き合うことで、いろいろなことに気づき、作物の実りに喜びを見い出し心豊かになれます。つまり、人々の命を支える農業は、障害のある人にとってもそれは生き方を支えるものになるのです。
農業やその周辺での仕事は実に多様で大きな広がりを持ちます。それらの作業を細かく分解していくと、障害、年齢、体力等々自分の状態と相談しながら、それぞれの人がその人ができることをその中で担うことができます。誰もが農に親しみ、そこで豊かに過ごす事ができるのです。農業はなにしろ自然が相手です。雨天や農閑期等は避けられません。しかし、思い通りにならないからこそ、周辺作業や農産加工、創作的作業など自在に組み立て、利用者一人ひとりの希望や障害特性に対応したプログラムが可能になります。キャロットハウスはいつでも皆さまを歓迎します。